らくガキ日記

アモイ在住の兼業イラストレーターの日記

妄想中国論05”リッチ?な農村生活”


 以前、日本人には中国の農村部は貧しいという認識があるのではないかと書きました。今回は具体的に農村部の生活を詳しく述べて見たいと思います。私は考え様によっては意外とリッチなのではないかと考えてしまいます。

注意)ただし、中国は広く、農村にも色々な状況の人たちがいることをご了承ください。以下の記述は私が体験した1つの例としてお考えください。


<リッチな理由1> 暖炉がある
 農村部の主な燃料は薪です。これが無いと大陸の厳しい冬がこせません。伝統的には囲炉裏形状の裸火で上に豚の肉やソーセージが掛かり、薫製が行われています。最近では室内に煙が出ない薪ストーブを使用している家が増えているようです。その暖かさには独特のものがあり、灯油や電気が甘口としたら、薪を使う暖炉は辛口な暖かさです。湧かしたお湯とかけ流しの温泉の違いに似ているように私には思えます。これってなかなか贅沢ではないでしょうか? 薪は所有する雑木林から切り出すので基本的にはお金はかかりません。取って来た薪は1年乾燥させた後に使用します。


<リッチな理由2> エコ生活
 多種類の穀物、野菜を育て、牛、豚、鶏、さらにヤギ、アヒルなどの動物が助け合い、人間を中心とした生態系が出来上がっています。このシステムはとても合理的に設計されています。そのライフスタイルには無駄がなく、基本的に、水さえあれば外部からの援助なしに自活できるデザインです。また、肥溜にはメタンガスを回収する装置がついており、調理用の燃料として利用されます。なかなかのエコ住宅です。


<リッチな理由3>マイ溜め池を持っている
 日本のお金持ちでもなかなか家に池をもっている方は少ないでしょう。現在は水道も整備されていますが、かつてはこの溜め池の水がライフラインだったのだと思います。広い田圃を持っている家は溜め池もその分大きくなります。溜め池専用の舟を持っている家も少なくありません。これって男の夢になりえると思いませんか?


 嫁の田舎では勉強をしない子供には”一生牛を飼って生きることになるぞ!”と言って叱るそうです。でも、日本で起こっているさまざま問題を知っている私(中国に出稼ぎに出なければ生きられない私と言った方が良いかもしれません)には”うん、それもいいかも!”とつい思ってしまうのです。農村の生活スタイルは想像以上に緻密にできており、なおかつとてもタフです。中国大陸に発生した数々の王朝は農民を支配しましたが、逆に言うと農民に依存してきました。王朝が滅んでも、農民は滅ぶことはなかったのです。いままでも、おそらくこれからも•••。そして、この農民の姿も日本がかつて失ってしまた貴重なライフスタイルの一つだと思うのです。


<追記>
 今回は基本的に農村部の良いところを述べさせてもらいましたが、実際には多くの家庭で現金収入のため両親は都市部に出稼ぎに出ています。両親と子供が会えるのは年に1,2回です。日本の常識ではとてつもなく不幸に思えるのですが、彼らは前向きに楽しそうに数少ない一緒の生活を楽しんでいます。


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本日もらくガキ日記にお出でいただきありがとうございます。
今回は画像が大きくてすみません(保存後、拡大して見てください)。
次回は”溜め池”についてもう少し述べさせていただきたいと思います。