らくガキ日記

アモイ在住の兼業イラストレーターの日記

妄想中国論08 ”クロスロード”


 今回は中国(田舎)の交通事情について書いてみたいと思います。今や中国は世界一の自動車消費国です。私の住んでいるアモイ島は沿岸部の地方都市なのですが、私が中国に来た4年前と比べ自動車の量は確実に増えていますし、びっくりするほどの高級車が路駐していたりします。首都北京に至っては車が多すぎて、新規購入に規制をかけたり、ナンバーの偶数、奇数によって走れる日を決めたりしているそうです。ま、このような排気ガス臭い都会の話はやめて、本日もやはり田舎に話が移ります。

 かなり自動車が増えた中国ですが、内陸部の田舎では車はまだ高級品です。庶民の足はタフで機動力のある250ccバイクです。家族三人がこの一台のバイクで移動します。冠婚葬祭などのイベントでは親戚知人がバイクに乗って集まってきますので、家の前はバイクでいっぱいになります。このような環境を体感していただくため、こんなお話はどうでしょうか?
 


 2月、中国の旧正月のある夜、親戚の家での食事会からの帰り道に、私は年の離れた義理兄さんの運転するバイクの後ろに乗っていました。大陸の冷たい風がかぶっているフードをすり抜けて、私の顔を冷やしていました。暗がりの中、雑然とした町並みと家からもれる灯りがモータ音とともに走り去っています。

 あ、なんだろう? この懐かしさ•••

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そうだ、じいちゃんだ!

 そのとき私は、祖父と一緒に走っていたのです。時代が違う異国の地で、でも、そこには記憶の片隅にある同じ空気が流れていました。

 今の若い方には信じられないかもしれませんが、30年前、日本にもこんな穏やかな時代があったのです。中国と日本は国の形や文化は確かに異なります。しかし、そこに住んでいる人々に違いがあるとは限らないのです。現在の状況だけで比較するのはフェアではないかもしれません。そこには時代を超えて、多くの交差路(クロスロード)があると思うのです。(おわり 3/20)

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震災復興に活動されている皆様、恐怖心に負けず通常の生活を守っている皆様、本当にありがとうございます。日本の復興を見守りつつ、予定していた内容をこれから更新していきたいと思います。