らくガキ日記

アモイ在住の兼業イラストレーターの日記

アモイ風景03”異物を纏って”


 エアコンの室外機などの追加工事がなければ、西洋と東洋の建築が融合した大層趣がある街並だと思うのです。しかし、ここに住む方々は美観の保全にはあまり感心がないようです。斬新な発想と妥協と打算を持って、彼ら新たなリアリズムの地層を建造物の外部に堆積させていきます。正統な美意識からはたいそう外れますが、そこからはえもいわれぬ生活感の香りが立ち昇ってきます。そこにあるのは保存されるべき建造物ではなく、生活のための建造物です。内部に寄生する人間の活動により、宿主たる建造物の外観は刻々と変化していきます。しかし、建造物に寄生する人間がいる限り、その建造物の生命は保たれるのです。建造物たちにとって、ちくちくと追加工事を行う住人たちは確かに小五月蝿い悩みの種でしょう。しかし、更地にされて新たな高層マンションの墓標の下に埋葬されるよりは遥かに良いと言うことを、一番良く理解しているのは建造物である彼ら自身なのだと思います。(おわり4/17)

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本日もらくガキ日記においでいただき、ありがとうございました。

 のんびりとアモイ風景を書いていましたら、日本からサウザンド•サニー号がもう届いてしまいました。アモイ風景は一旦中断して、次回からサニー号の製作に入ります。