らくガキ日記

アモイ在住の兼業イラストレーターの日記

妄想中国論02”床格差ー田舎篇ー”

 中国は超格差社会と言われております。経済的に豊かな沿岸部と内陸部の貧しい農村部。それは間違ってはいないのですが、少し細く説明が必要なようです。私が格差社会として最初に想像してしまっていたのが、巨大な体躯をして立派な鎧を着た武将と、厳しい年貢のため、やせて曾末な服装をしている農民の姿、三国志マンガ(特に蒼天航路)のイメージでした。実際はそれほど単純ではないようです。
 農村部の男性は筋肉隆々ですし、モーターサイクルの発達からか、太り気味の方も多いです。沿岸部の大都市の消費市場の発達は、農村部に経済的に良い影響も与えています。伝統的な方法で農家で育てた豚は、都市部で高値で取引されます。高いときには豚一匹、3000元近くで売れるそうです。搾取される農民というイメージは現在の複雑化した中国社会ではかならずしも正しい訳ではありません。
 でも、格差は確実に存在します。それを実感して貰うために、身近な床を例として上げてみましょう。
<農村の床>
農村部の床(一階)は大体がコンクリートの打ちっぱなしです。もちろん土足です。日本でいうとかつての土間が相当すると思います。食事の時に発生する骨などのゴミや、団らんのときに食べるひまわりの種、果実などの皮、タバコの吸い殻もそのまま床に落とします。それらのゴミは定期的に箒で掃除されます。日本人の感覚では抵抗があると思うのですが(私も最初は魚の骨を床に落せませんでした)、慣れるとなかなか合理的なシステムです。この床の許容値はかなり高く、乳児のお小水くらいは問題なく引き受けてくれます。床というより、地面が家の中に入って来た感じです。ですから、近所の方やお客さんはまったく気を使わずに他人の家で、ひまわりの種をたべながら、お茶を飲むことができるのです。そのことで農村部に不可欠な親密な人間関係が築かれます。そして、床に落されたクズたちは僅か数十秒で掃き清められるのです。

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本日もおいでいただきありがとうございました。
次回は床格差ー中流篇ーです。